多糖類の特性~各社キサンタンガムの違い「基本的な粘性の違い」~

キサンタンガムは、主鎖が2個のグルコース、側鎖は2個のマンノースと1個のグルクロン酸で構成されている多糖類です。その分子量は約200万とされていますが、文献によっては300万である場合や、はたまた1300万、果ては5000万との報告もあります。この違いは何故起こるのでしょうか?

 それは、上記の構造はあくまでも1つの基本的な骨格であり、この基本骨格が非常に多く繰り返し構造になっていることが一つの要因です。キサンタンガムは微生物の発酵により得られるのですが、天然物であることからこの繰り返し構造の数は一定ではなく、ある程度のバラつきをもつ高分子であると考えられます。加えて、この高分子が絡まりあって存在することで、正確な分子量の測定がより困難となるのです。

 そんな一定の大きさではないキサンタンガムは、当然各社の製品によってその性質が異なります。

 では、様々な種類のキサンタンガムの比較を行ってみましょう。以下のグラフは、4種類の標準型キサンタンガム(A~Dで表記)に粘度規格試験を行い、得られた結果をグラフ化したものです。一般的にキサンタンガムは1%KCl濃度の溶媒に溶かした際の粘度で規格化されており、製品によって多少の差はありますが、1100~1800mPa・sの粘度範囲のいずれかで設定されていることがほとんどです。

 今回使用している各種キサンタンガムは、多少の差はありますが近い規格試験結果を示しています。では、このキサンタンガムを水道水に溶解した際の粘度を比較してみましょう。

 同じ濃度、同じ方法で各種キサンタンガム溶液を調製しましたが、Aから順にDに向けて高い粘度を示しました。A~Cまでは規格粘度の比較と同様の差、順番でしたが、Dの粘度が非常に大きくなっていることが分かります。

 次に、同じ試料を今度は水道水に80℃程度で加熱溶解した結果を以下に示します。

 すると、各種キサンタンガム溶液の粘度が少しずつ下がりましたが、特にCの緑色のグラフのものの粘度低下が顕著であることがわかりました。

 以上の結果から、一口にキサンタンガムと申しましても、そもそもの粘度の傾向が異なり、熱による影響の受け方も異なることがわかりました。このように、異なるキサンタンガムの粘性ですが、食品等の分野で使用する際には入っていることの多い塩が加わるとどのような影響を受けるのでしょうか?

 続きは次回の豆知識でガム濃度による影響と併せてご紹介します。

 

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