多糖類の決まり事~食品表示法について その2~

前回の豆知識では、多糖類に関わる可能性の高い変更点についてご紹介しました。今回の豆知識では、加工食品に関わるその他の変更点に関してご紹介します。

加工食品の栄養成分表示の義務化
 従来の健康増進法では、栄養成分を表示するための基準が定められていましたが、表示は任意となっていました。しかし、食品表示法に基づく表示では、加工食品における栄養成分表示が義務付けられ、生鮮食品や業務用加工食品も自主的に表示する場合には基準に基づいた表示を行うこととなりました。栄養成分表示の基準では、以下の5つの項目が、記載の順番で必須となります。
1.熱量(エネルギー) 2.たんぱく質 3.脂質 4.炭水化物 5.食塩相当量
このうち、4.炭水化物に関しては以前の豆知識で食物繊維のお話としてご紹介しました(「食品表示における食物繊維熱量の考え方」)。
従来と変更されている点として以前はナトリウムと表示されていましたが、原則としてより理解しやすい食塩相当量に換算して表示することになりました。加えて、表示義務のない栄養成分として糖質やコレステロール、ビタミン等があり、表示は任意とされていますが、飽和脂肪酸と食物繊維は積極的な表示が望ましい成分として推奨されています。

表示が必要な項目
 色々な変更点をご紹介してきましたが、そもそも加工食品にはどういった表示が必要なのでしょうか。加工食品では定められた表示事項を容器包装にひとまとめにして表示することとしており、一括表示様式と言われています。基準では、次の9項目の表示が必要と定められています。
1.名称
2.保存の方法 
3.消費期限又は賞味期限 
4.原材料名 
5.添加物 
6.内容量又は固形量及び内容総量 
7.栄養成分の量及び熱量 
8.食品関連事業者の氏名又は名称及び住所 
9.製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等
 8の食品関連事業者は、表示内容に責任を有する者を記載しますので、9の項目と同一である場合には、一方を省略して表示することが可能です。 

 加えて、一定の要件に該当する場合に表示が必要な項目は次の8項目です。
 1.アレルゲン 
2.L-フェニルアラニン化合物を含む旨 
3.特定保健用食品に関する事項 
4.機能性表示食品に関する事項 
5.遺伝子組換え食品に関する事項 
6.乳児用規格適用食品 
7.原料原産地名 
8.原産国名
  今回の豆知識では詳細をご紹介していないものも含めて、多くの項目について表示手法や義務が定められています。

機能性表示食品に関して(特定保健用食品と栄養機能食品)
 食品に表示可能な機能性として、これまで設けられていた「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に加えて「機能性表示食品」が設けられました。特定保健用食品(トクホ)は健康の維持増進に役立つことを科学的根拠から認められている食品で、個別の食品ごとに国が審査を行い消費者庁が許可するものです。許可を受けた食品は許可マークが表示されるようになります。一方、「栄養機能食品」は1日に必要な栄養素が不足する際に補うために利用できる食品で、届け出等は行わなくとも基準値を満たしていれば、国によって定められた表現で機能性を示すことができます。今回、創設された機能性表示食品は、事業者の責任において食品の安全性や機能性などの必要な情報を消費者庁に届け出ることで、科学的根拠に基づいた機能性を表示できます。ただし、特定保健用食品とは異なり、国の審査等はなく、許可を受けている食品ではありません。各制度の概要を示すと以下のようになります。

特定保健用食品:科学的根拠に基づき、国による審査を受けて許可された機能性を表示
機能性表示食品:科学的根拠に基づき、事業者の責任により機能性が表示されており、
        機能性の根拠などの情報は届出がされているが許可は受けていない
栄養機能食品 :科学的根拠が確認された栄養成分を基準量含んでおり、届出も許可も受けていないが、
        定められた表現で機能性が表示されている

 上記の3種の制度を満たした食品は機能性の表示を行うことができますが、それ以外の一般食品は機能性の表示ができません。

 今回の豆知識では、2015年に施行された食品表示法の概要について記載しました。しかし、上記で述べた内容以外にも栄養強調表示法や加工食品と生鮮食品の区別法など、多くの表示に関するルールが基準化されており、その猶予期限は残り2年程となりました。また、すでに施行後数年が経過しており、改正も行われているため、最新の情報・詳細は以下のウェブサイトなどでご確認ください。なお、本稿で述べた内容については、2018年5月現在で確認できる情報をもとに作成しています。

消費者庁 食品表示企画課http://www.caa.go.jp/foods/

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