物性のお話~粘度 その2 「ニュートンさんはドロドロ?」~
物性
少し前回の粘度比較のおさらいをします。
水あめとマヨネーズはどちらが「ドロドロ」していますか?とアンケートを取ると、水あめの方がドロドロしているとの回答が多くなります。一方で、「ドロドロ」の指標である「粘度」で瓶に保管した両者を比較するとマヨネーズの方が粘度が高い結果になってしまいます。
何故このような違いが起きるのでしょうか?
ポイントは、粘度の数値が「瓶に保管」しているときの粘度であること!
通常、液体の「ドロドロ」を比べる時、「瓶に保管」したまま液体を外からいくら眺めても、どちらがよりドロドロしているか判断できません。そこで、その液体を比べるために瓶の中身をかき混ぜたり、取り出したり、食べるなど、液を動かして比べるのではないでしょうか。この液のドロドロ具合を確かめる方法が、結果の違いに大きな影響を与えていたのです。
「瓶に保管」しているとき、水あめやマヨネーズには何の力もかかっていません。一方、水あめをかき混ぜたり食べるときには、液を動かしたり、口の中でモグモグするための様々な力が液にかかります。この力がかかった状態の粘度が、皆さんがイメージする「ドロドロ」具合に、より近い数値と言えるのです。
では、問題の数値はどの程度なのでしょうか?
水あめとマヨネーズのそれぞれの粘度は「瓶に保管」しているときは、水あめの粘度が10万mPa・s、マヨネーズの粘度が100万 mPa・sというのが前回のデータでした。一方、ぐちゃぐちゃにかき混ぜると、水あめの粘度がほぼ 10万 mPa・sのままで変化がないのに対して、マヨネーズの粘度は 1 mPa・s程度と非常に大きく低下します。そんなに差が開くものかと思われるかもしれませんが、適当な容器に水あめとマヨネーズを準備して、それぞれを思いっきりかき混ぜてみてください。マヨネーズは簡単に混ぜることができますが、水あめを素早くかき混ぜるには非常に強い力が必要です。粘度は「流体の流れにくさ」とも言われていて、より流れにくく、動かすために強い力が必要な水あめの方が高い粘度を示すことにご納得いただけるのではないでしょうか。
この水あめのように、液体に加える力が変化しても、粘度が変化しない液の特性をニュートン流体といいます。ここでのニュートンとは「リンゴが木から落ちた!」と言ったかもしれない、あのニュートンさんと同一人物です。
少し詳しく定義を説明しますと、水あめをかき混ぜるとき、激しくかき混ぜるには強い力が必要ですが、ゆっくりかき混ぜるにはそれほど力は必要ではありません。この動かす速度(ずり速度と呼ばれます)と粘度(粘性とも言います)を掛けたものが、動かすために必要な力(応力)で、この計算式において比例関係が成立する流体をニュートン流体と呼びます。
では、この式において比例関係に当てはまらず、かかる力の変化と共に粘度が変化するマヨネーズは何者なのか?そして、前回からひっそりと登場しているこのキャラクターは何者なのか??
その答えは2015年8月10日更新予定の次回豆知識でお届けします!