キサンタンガムのダマを作らないコツ~ダマができる原因と解決方法②~

キサンタンガムとは、微生物発酵で作られる多糖類で、日本を含め世界中でよく使われる多糖類です。よく使用される分、「ダマになってしまう」というご相談が一番多い増粘多糖類でもあります。
キサンタンガムがダマになりやすいのはなぜか?

それは、溶けるのが速すぎるから です。

キサンタンガムは多糖類の中でも溶けるスピードがとても速いです。これは、キサンタンガムの良い点でもありますが、使い方として注意が必要な性質です。この特性から、キサンタンガムの粉が溶媒中で分散する前に、水に触れた瞬間に溶けて膜を作ってしまい、結果ダマが発生します。
解決方法は前回の豆知識でご紹介した共通の方法に加え、キサンタンガム特有かつ効果的な方法があります。
キサンタンガムがダマになる原因が、溶けるのは早すぎるから、なので、ダマにしないためには溶けるのを遅くすればよいのです。では、キサンタンガムの溶解スピードを落とすにはどうすればいいのか。

溶かす溶液にキサンタンガムを投入するより先に塩類(プラスの電荷をもつイオン)を入れておく。

これがとても効果的です。
なぜ効果的であるか、キサンタンガムが粘度を発揮する際に何が起こっているか、というところから考えてみましょう。
多糖類は粉の状態のときは糸を丸めたような状態になっているとされます。その粉が水に溶け、丸まっていた状態から広がることで粘度などを発揮します。キサンタンガムは、自身の中に電荷をもっているので、電荷の反発も丸まっていた状態から広がる際の助けになります。そのため、他多糖類よりも早く溶解し、粘度を発揮すると考えられます。
従って、電荷がなければ粘度発現速度は落ちるので、電荷を打ち消す塩類を溶解する液に添加しておくことでキサンタンガムの粘度発現速度を落とし、ダマになりにくくすることができるのです。


ただ、この方法は、塩類の濃度が高い場面などで却ってダマが発生しやすい状況を作ることもあります。それは、電荷による反発は粉が水に触れた瞬間から粉同士が分散する際にも機能していると考えられ、溶媒中の塩濃度が非常に高い場合には粉が分散することを阻害するため、分散前に周囲の粉が水を吸い、ダマが生じてしまうのです。これは特に塩水への粘度発現が優れるグレードのキサンタンガムで生じやすい現象であるため、最適なグレードの選択も重要です。

実際に多糖類を使うときはその時々で原料など様々な条件があると思います。
多糖類のダマについてお困りのことがあれば、一度ご相談してみてください。

ご相談先→MP五協フード&ケミカル株式会社問い合わせ窓口

次回は多糖類の粉の大きさがダマに与える影響についてご紹介します。

エコーちゃんとロイドくんによるダマに関する豆知識もぜひご覧ください。

多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その1「粉の大きさと溶解速度」~
多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その2「粉の形と溶けやすさ」~

 

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