ダマってなんだろう?~ダマができる原因と解決方法①~

水に多糖類(増粘多糖類)粉末を溶かす際にできる粉の塊。ダマ、ままこ、フィッシュアイ…様々な呼ばれ方をしますが、ダマが発生して溶かすことができず困った経験のある方は多いのではないでしょうか?

なぜダマができるのか、どうすればできないのか、最適な解決方法は使用される条件などにより異なりますが、基本的な押さえるべきポイントは共通しています。

そこで、多糖類粉末でダマができる原因と解決方法の事例をご紹介します。

 

「多糖類のダマ」とは何なのか。

多糖類粉末が塊状のまま水に接することで、粉の塊の外側に位置する多糖類だけが水を吸って生じた膜、つまり超高濃度多糖類膜が粉全体を覆ってしまい、膜の中の粉に水が届かず、溶けなくなった状態です。

 

 

そうなると、中の粉に水が届くようにダマを一つ一つ潰したり、膜になってしまった部分を溶かそうとさらにその部分を潰したり…なんてことをしたくなりますが、一度ダマが出来てしまうとなかなかうまく溶けません。その前にダマを作らないように溶かすことが重要です。

ダマを作らないように溶かすには、多糖類の粉同士をできるだけバラバラの状態で水と触れさせることがポイントです。これを実現するにはいくつかの方法があります。

A:多糖類の粉を少しずつ添加する

→実際の製造現場で採用するには困難が多い手法。ゆっくりと投入する間に粘度が上昇する場合、攪拌効率が落ちることもあります。ゆっくり早くが必要です(難しい)。

B:多糖類の粉が溶けない溶媒に分散させて添加する

→原料に油やアルコールがあればそれらに多糖類の粉を入れて、粉が分散している状態を作り出してから水へ加える手法。粉の分散状態を確認しやすいですが、きれいに全量投入するには共洗いなどの工夫が必要です。

C:多糖類の粉を他原料の粉と混合して添加する

→Bと同じく多糖類の粉同士が接していない状況を作ってから水へ加える手法。粉末のまま扱うため容易に全量投入できるものの、多糖類の分散状態が確認し難いので、しっかり混合して下さい。

D:できるだけ強い攪拌(シェア)をかけて溶解する。

→ダマが生じるよりも早く、強い攪拌で多糖類を溶媒中へ分散させる方法です。

E:できるだけ多くの水に添加する。

→粉が広がりやすいスペースをつくるイメージです。

 

以上の内容は、多糖類全般に対して推奨する使用方法ではありますが、実は細かなダマの発生原因と最適な解決方法は、用いる多糖類、使い方によって異なります。そこで、次回以降の更新では多糖類の種類によるダマの原因と解決方法の例をご紹介したいと思います。

 

エコーちゃんとロイドくんによるダマに関する豆知識もぜひご覧ください。

多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その1「粉の大きさと溶解速度」~
多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その2「粉の形と溶けやすさ」~
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