実はダマに影響する粒度の違い~ダマができる原因と解決方法③~
物性
ダマ、ままこ、フィッシュアイ、一度できると溶かすのが大変な厄介なもの。これまで、多糖類(増粘多糖類)のダマとは何か、一例としてキサンタンガムでダマにならないようにするにはどうしたらいいかをご紹介してきましたが、実は多糖類の粉の大きさ(粒度)によってもダマになりやすさを変えることが出来ます。
前回に引き続きキサンタンガムを例にご説明します。キサンタンガムでダマが生じやすい原因は、キサンタンガムの溶解速度が速すぎるからであり、ダマになりにくくするには、溶解速度を遅らせればよい、という話を前回しました。では、溶解速度を遅らせるには、粉の大きさ(粒度)をどうすればいいのか。
それは、粉の大きさ(粒度)を大きくすればよいのです。
多糖類の粉は小さく細かい方が溶けやすくなり、溶けるスピードも速くなります。そのため、多糖類が溶けにくい条件で使う場合には、粉が細かい(粒度が細かい)キサンタンガムを使うと素早く適切に機能を発揮することができます。一方で、溶けやすいことから投入方法を十分に工夫しない場合にはダマにも生じやすくなります。
一方で、ダマにしたくないときは、粉が粗い(粒度が大きい)キサンタンガムを使うことで溶解速度が遅くなり、仮に弱い攪拌であってもダマが生じるより先にキサンタンガムが十分に分散することで、ダマが生じにくくなります。
また、粉末を造粒することもダマ予防に効果的です。
造粒とは、簡単に言えば粒子同士をくっつけて粉を大きくすることです。造粒方法はいくつかありますが、その中でキサンタンガムでよく使用されるのが、流動層造粒です。デキストリンとキサンタンガムを混ぜて流動層造粒機で造粒することで、ダマになりにくくしながらも溶解速度は遅すぎないものになります。
これは、嚥下困難者用のとろみ剤によく使われている方法です。
このように粉の大きさ(粒度)もダマのなりやすさに影響を及ぼしますので、もしダマでお困りの際は製品グレードを見直してみるのもいいかもしれません。
お使いの多糖類が適切かどうか気になる方は一度ご相談してみてください。
エコーちゃんとロイドくんによるダマに関する豆知識もぜひご覧ください。
多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その1「粉の大きさと溶解速度」~
多糖類の特性~キサンタンガムの溶解性と粒子径その2「粉の形と溶けやすさ」~