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多糖類の決まり事~食品表示法について その1~

制度

従来の食品表示に関する一般的なルールは、食品衛生法、JAS法、健康増進法という3つの法律に分かれていました。添加物やアレルギーなど食品の安全に関わる表示に関しては食品衛生法で、原材料や内容量、原産地などの品質基準に関する表示はJAS法(農林物資の規格化等に関する法律)で定められていました。食品名称や製造者の名前、賞味期限等についてはこれら両方で定められている一方で、健康増進法にも栄養成分やエネルギーなどの表示に関するルールが定められるなど、食品の表示に関しては非常にわかりにくい状況となっていました。
 そこで、これら3つの食品表示関連法令を統合し、一元化した食品表示法が2015年4月1日に施行されました。具体的な表示ルールは、以前の3つの法の下で定められていた58本の表示基準を統合して食品表示基準として定められています。多糖類が該当もしくは使用される領域としては加工食品および添加物であり、5年間の猶予期間(2020年3月末まで)が設けられています。そこで、加工食品および添加物の領域における変更点を中心に食品表示法で定められたポイントをご紹介します。

原材料名の表示方法変更点
 
従来、食品に使用した原材料はJAS法に基づき「添加物以外の原材料と添加物に区分」して「それぞれ重量割合の多い順」に表示していました。しかし、食品表示法の基準では、原材料名の欄とは別に添加物の項目を設けて記載するか、原材料名の欄の中で「/」等の記号で区切る、もしくは改行等により、原材料と添加物を「明確に」区分することになりました。これにより、従来と記載される順番に大きな変更はありませんが、どこから先が添加物であるのか容易に判断できるようになりました。現在は猶予期間であることから、すべての食品でこの記載方法になっているわけではありませんが、比較的最近販売された商品では「・・・砂糖/増粘剤(キサンタンガム)、調味料(アミノ酸)・・・」などと、スラッシュで区切られた表示を行っているものを見つけることができます。

原料原産地名
 2015年4月1日に施行された食品表示法では、対象となる22食品群及び4品目にのみ原料原産地名の表示が必要でしたが、2017年9月1日以降は順次、すべての加工食品で最も多く使用されている原材料の原産国の表示も義務化されました。猶予期限が2022年3月31日まで設けられていますので、まだ表示が変更されている食品は少ないかもしれません。この表示では最も多く含まれている原材料が生鮮食品である場合には産地、加工食品である場合には製造地が記載されます。ただし、あくまでも表示対象は原材料です。明確に区分された添加物は表示対象ではありませんので、仮に食品中で添加物である多糖類が最も量が多い場合に、多糖類に関する表示の必要はありません。しかしながら、業務用加工食品及び業務用添加物は、その原料を使用した顧客の食品において表示の対象となるものについて、表示の義務が課されています。この場合、業者間取引の場合には、ラベル表示以外にも、送り状や納品書等又は規格書等に表示することで対応可能です。
 
アレルギー表示
 
従来、原材料名の後ろに記載する個別表示、原材料一覧の最後にまとめて記載する一括表示の2通りの表示方法があり、どちらの方法で記載しても良いとされていました。しかし、食物アレルギーにはアナフィラキシーショックなどの重篤な症例もあり、商品選択の際に確実に情報が得られるために個別表示を行うことが原則となりました。記載方法として原材料は「卵黄(卵を含む)」のように(〇〇を含む)と記載し、添加物の場合は「ペクチン(りんご由来)」のように(〇〇由来)と記載します。また、個別表示が困難な場合や個別表示がなじまない場合には、一括表示することが可能です。その場合、従来の一括表示では(原材料の一部に○○を含む)と記載されていましたが、食品表示法では(一部に○○を含む)という表記になり、含まれるアレルギー物質をすべて記載することになりました。

製造所固有記号の使用方法
 
食品衛生法では製造者の名称と製造所所在地住所を表示することになっていますが、製造所固有記号と呼ばれるものを使用することで、製造者の本社住所や販売者の名称、住所を代わりに表示することができました。しかし、この表示方法では製造所がどこであるかわかり難いため、食品表示法の基準では原則として製造所固有記号を使用せずに製造所所在地、製造者名を表示することになりました。ただし、同じ製品を2か所以上の製造所で製造している場合には、製造所固有記号を使用できますが、消費者が製造所等に関する情報を得るための情報を記載する必要があります。その際、従来の制度による製造所固有記号と区別するために食品表示法の製造所固有記号の前に「+」を付けて表示することになります。ただし、業務用の食品や添加物などの業者間で取引を行う場合には、製造所固有記号を従来同様に使用可能で、これも「+」を付けて表示することになります。

今回の豆知識では、多糖類に関わる可能性の高い変更点についてご紹介しました。次回の豆知識では、加工食品に関わるその他の変更点に関してご紹介します。

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