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多糖類の決まり事~食品表示法について その4 増粘多糖類の範囲は?~

制度

“食品表示法について”、第4回目では、簡略名”増粘多糖類”の範囲について、もう少し詳しく解説していきましょう。

「増粘多糖類」の範囲は?

豆知識#36でご紹介したように、「増粘多糖類」は用途「増粘安定剤」で使用できる多糖類が2種以上使用された場合に使われる簡略名で、その多糖類は既存添加物、一般飲食物添加物記載のものに限定されます。既存添加物は日本で広く使用され、長い食経験を有するもののみが記載されています。したがって、長い間日本人が食べて問題が起こっていないものとも言えます。また、一般飲食物添加物は、飲食に供されているもので、食品としても使用可能なもののみが記載されています(イチゴジュース、寒天等)。一方で、同様に食品添加物として使用できる、指定添加物については「増粘多糖類」表示ができません。指定添加物にリスト化されている添加物で、増粘や安定作用があるものとしては、加工澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン)やCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)等、化学修飾や架橋が成されているものが多くありますが、これらは「増粘多糖類」として一括表示できないことになっています。

では「増粘多糖類」表示ができる物質は具体的に何か、というと下記の表が例示できます。どれも植物や藻類等の天然物由来や、微生物発酵由来のものです。この、用途欄に「増粘安定剤」と記載された添加物のうち、「多糖類」を2種以上併用する場合に「増粘多糖類」簡略名は使用できます。長い食経験があるものや、食品として使用可能なもののみが「増粘多糖類」表示が可能なのです。

別添 添加物2-1 既存添加物名簿収載品目リストのうち用途「増粘安定剤」記載品

品名、簡略名又は類別名
アウレオバシジウム培養液 カロブビーンガム デキストラン
アグロバクテリウムスクシノグリカン キサンタンガム トラガントガム
アマシードガム キチン トロロアオイ
アラビアガム キトサン 納豆菌ガム
アラビノガラクタン グァーガム 微小繊維状セルロース
アルギン酸 グァーガム酵素分解物 ファーセレラン
ウェランガム グルコサミン フクロノリ抽出物
エレミ樹脂 酵母細胞壁 プルラン
カシアガム サイリウムシードガム ペクチン
ガティガム サバクヨモギシードガム マクロホモプシスガム
カードラン ジェランガム モモ樹脂
カラギナン タマリンドシードガム ラムザンガム
カラヤガム タラガム  


別添 添加物2-3 一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用される品目リストのうち用途「増粘安定剤」記載品

品名、簡略名又は類別名
オクラ抽出物 グルテン分解物 ナタデココ
海藻セルロース コンニャクイモ抽出物 マンナン
褐藻抽出物 サツマイモセルロース レンネットカゼイン
グルテン ダイズ多糖類  

 

一般飲食物添加物は食品素材として使用する場合は、食品素材として記載し、食品添加物として使用する場合は食品添加物として記載するので、同じものでも場合によって表示方法が変わります。

以上、簡略名“増粘多糖類”についてでした。


書籍:新食品添加物表示の実務2017, 一般社団法人食品添加物協会(2017/04発行)
https://www.jafaa.or.jp/publish

消費者庁 食品表示法等(法令及び一元化情報)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/

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