多糖類の決まり事~食品添加物に関する規則 その2「食品添加物公定書」~
制度
前回、“食品添加物に関する規則”では“コーデックス規格”について説明しました。今回は日本で使用される食品添加物の規格等を記載した “食品添加物公定書”の紹介をしたいと思います。
食品添加物公定書とは
日本で使用される食品添加物は、食品衛生法第四条にて、以下の様に定められています。
“添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、湿潤その他の方法によって使用するものをいう。”
食品添加物は主として、食品の保存料、甘味料、着色料、香料等、食品の製造過程、または食品の加工、保存の目的で使用されています。厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。
食品添加物公定書は、この食品添加物の成分の規格や、製造の基準、品質確保の方法について定めた食品衛生法第二十一条に基づいて作成されています。食品添加物に関する製造・品質管理技術の進歩及び試験法の発達等に対応するため、定期的に改訂が行われており、現在、2018年2月1日に公表された“第9版食品添加物公定書”が最新のものとなります。日本で食品添加物として使用される原材料について、成分規格や使用基準、試験法を調べたい場合は、まずこの食品添加物公定書を確認するのが良いでしょう。第9版はA通則42 項目、B一般試験法45 項目、C試薬・試液等11 項目、D成分規格・保存基準各条683 条、E製造基準、F使用基準及び、G表示基準から構成されます。また、第8版から、第9版への更新に伴い、酵素62品目、酵素以外27品目の成分規格が新たに設定されました。
ここで、日本の食品添加物について簡単にご紹介したいと思います。日本の食品添加物は、“指定添加物”、“既存添加物”、“天然香料”、“一般飲食添加物”の4種に大別され、別々のリストに記載されていることが特徴の一つとして挙げられます。各添加物の概要は以下の通りとなります。
●指定添加物
食品衛生法第十条に基づき、厚生労働大臣が使用してよいと定めた食品添加物です。食品衛生法施行規則別表第一に収載されています。この指定の対象には、化学的合成品だけでなく、天然物も含まれます。安全性の評価が実施されています。
●既存添加物
1995年の食品衛生法改正により、厚生労働大臣による指定が必要な食品添加物の範囲が化学的合成品から天然香料及び一般飲食物添加物(以下「天然香料等」という。)を除く全ての添加物に拡大されました。本改正に伴い、従来から販売・製造・使用等がなされてきた化学的合成品以外の添加物(天然香料等を除く。)が、経過措置として、その範囲を既存添加物名簿として明確にし、引き続き販売・製造・輸入等を認めることとしたものです。クチナシ色素、柿タンニンなど、長年の食経験から添加物としての使用が認められています。しかしながら、品目により、規格基準等が設定されていないものもあり、科学的データに基づく安全性の見直しが現在も実施され、必要に応じて名簿からの削除も行われています。
●天然香料
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるものです(バニラ香料、カニ香料など)。
●一般飲食添加物
一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです(イチゴジュース、寒天など)。
さて、食品添加物公定書第9版の紹介は如何だったでしょうか。次回の“多糖類の決まり事”では、EUにて食品添加物の規格等について記載している、欧州委員会規則(Commission Regulation)についてご紹介したいと思います。
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