食品 – 冷菓について3 – アイスに強いロイド君

エコーちゃん:アイスを語る上で、安定剤の選定は非常に重要よ!某アイスの世界大会参加者も、処方、製法に加えて安定剤の選定は重要だとセミナーで語っていたわ!!

デントくん:(スィーツだから気合が入ってるなぁ…。)

エコーちゃん:で、デント君はどんな安定剤がタイプなの?

デントくん:突然だなぁ。強いて言うなら…ネバ過ぎず、アイスが溶けにくくなる安定剤?

エコーちゃん:…っ‼ どうやら私たちは、親友だったようね…。

デントくん:親友っていうか、同じキサンタンガムだけどね。

ロイドくん:ほっほっほっ。今日も元気じゃのぉ。ネバ過ぎず、アイスが溶けにくくなる安定剤とくれば、どうやらわしの出番のようじゃ。

デントくん:低粘度でニュートン流体様のタマリンドシードガム(TSG)がネバ過ぎないのは分かりますけど、アイスを溶けにくくすることもできるんですか?

ロイドくん:いい質問じゃ。実はわしだけじゃアイスの溶けにくさ、いわゆる保形性への寄与は少ないんじゃ。しかし前回紹介したアイス界安定剤の王者、ローカストビーンガム(LBG)とわしは相性が良くての。一緒に活躍すると冷菓にとって、いろんなポジティブな効果が出るんじゃ。どれ、ちょうどアイスミルクを使った試験結果があるんで見てみよう。




エコーちゃん:すごい!LBGとTSGを両方使うと、50分経ってもアイスが形を保ってる!!

デントくん:けどTSGだけだと、LBGよりも溶けてしまっているね。

ロイドくん:さよう。TSGはLBGと併用することにより、保形性を向上させることができるんじゃ。一方で単体で使用すると、安定剤の恩恵を受けつつも、低粘度ゆえ、なめらかで自然なくちどけも表現できるんじゃ。

エコーちゃん:安定剤の恩恵ってどういうの?

ロイドくん
:順序良く説明していこう。まずはアイスの滑らかさの指標として、“氷晶サイズ”を見てみようかのう。例えばヒートショック処理をすると、氷晶は大きくなるんじゃが…。

デントくん:ヒートショックというと、アイスに対して温度変調を繰り返して、過酷な条件にさらすことですね。アイスの滑らかさが失われて、美味しくなくなるはず…。

ロイドくん:その通り、試験結果がこれじゃ。



エコーちゃん:ヒートショックをかけると氷晶が大きくなってるけど、他は違い分かんないや。

デントくん:…つまり、LBGをTSGに置き換えても、氷晶サイズには影響がない…。

ロイドくん:そして最後に粘度とオーバーラン性じゃ。



エコーちゃん:オーバーランは…右肩上がりね。粘度は逆に右肩下がり…。粘度が低下した分、オーバーランが入りやすくなったのかしら。

ロイドくん:粘度過多はオーバーランが入りにくくなるともいうので、その可能性があるのう。

エコーちゃん:まとめると…、タマリンドシードガムはLBGと併用すると、粘度を下げながらも保形性を向上させることができるのね。そして単体使用だと、なめらかさやヒートショック耐性、オーバーラン性を維持しつつも、自然な口どけを表現できる…ステキ!

ロイドくん:その通りじゃ。一種で二役可能な冷菓安定剤、それがタマリンドシードガムじゃ。昨今はLBGの価格高騰も起こっとるからのぅ。一部置換でのコストメリットもあるじゃろう。しかも加熱溶解、冷水溶解、豆臭低減タイプ等々、種類も豊富じゃ。

デントくん:よく使われる冷菓安定剤、ローカストビーンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、どれも豆由来だから豆臭も課題ですもんね。

ロイドくん:冷菓のフレーバーや添加量によって、適切な安定剤の種類、比率は変わってくる。アイスメーカーの研究開発者はきっと、その適切な配合量の探求を日々研鑽しとるんじゃろう。タマリンドシードガムはその際の選択肢の重要な一手を担っておるんじゃ。

エコーちゃん:そしてその研鑽の賜物が、私の癒し…というわけね、マイベストフレンド!!

デントくん:そう…だね…(今度は何に影響されたんだろう?)

ロイドくん:既にタマリンドシードガムの冷菓安定剤としての使用は、日本では広く普及しておる。米国でも冷菓への採用は増え続けておるからのぅ。タマリンドシードガムを使用できる国も増えておるから、今後はもっと需要が増すじゃろう。



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