食品 – 介護食について -介護食とは?

今回からの豆知識のテーマは、“介護食について”です。

みなさまは介護食と聞いてどのようなものを想像されるでしょうか?介護食と言われても具体的なイメージが湧かない、一方で、実際に見たこと・使ったことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

これまで介護食は病院や施設等の介護現場中心に利用されてきました。しかし近年、高齢者人口やそれに伴う在宅介護の増加により、スーパーやドラッグストアなどの小売店、更にはネット通販など、一般市販ルートでの介護食の流通が増えてきています。

ご存知の通り現在日本は少子高齢化社会であり、令和元年の高齢化率(65歳以上人口割合)は28.4%、そして総人口が減少する中でも高齢化率は上昇し続け、2036年には3人に1人が高齢者になると予測されています1)。よって、これからも介護食の需要・流通は確実に伸びていき、市場が拡大していくことが見込まれます。



そこで本稿では、まず介護食とはどのようなものか、次に、介護食の分類・基準、最後に介護食の課題とその解決手段としての多糖類、の計3回にわたりご紹介をしていきます。

そもそもどうして介護食が必要とされているのでしょうか。

高齢者は加齢による筋力の衰えや、高齢者に限らず病気等が原因で、嚥下(飲み込むこと)や咀嚼(噛むこと)する力が弱くなってしまいます。また、嚥下や咀嚼機能に障害が有ると、食べものや飲みものが誤って気管に入ってしまうことがあり、これを誤嚥(ごえん)と言います。誤嚥が起こると、飲食物と同時に入った細菌によって誤嚥性肺炎が引き起こされます。厚生労働省の統計によると日本人の死因で誤嚥性肺炎は6位(肺炎と合わせると3位)、また、年齢が高くなるにしたがってその割合は高くなっています2)。つまり、誤嚥性肺炎は高齢者の死亡リスクの大きな原因になっています。
また、嚥下や咀嚼が上手く出来ない状態では食事を楽しむことが出来なくなり、食の楽しみが失われる、食事への意欲が低くなり低栄養状態に陥るといった問題が起こってしまいます。

そこで、嚥下咀嚼困難による疾病リスクを低下させる、また生活の質(QOL)を維持出来るように工夫がされた食事(食品)というのが介護食です。嚥下や咀嚼困難の程度は人それぞれ異なるため、利用者の状況に合わせたものが選択出来るように、様々な種類・形態の介護食が存在します。

介護食に明確な定義付けは存在しませんが、今回は嚥下・咀嚼困難者を対象とした介護食である、嚥下食と咀嚼困難者食についてご紹介させて頂きます。




そして、とろみ剤のとろみ付け、固形化補助剤やデザートベース食、ムース食のゲル化には多糖類が使用されています。


次回はこれらの介護食を安全かつ適切に使用するために定められた基準・分類についてご紹介する予定です。





参考文献
1)内閣府(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html
2)令和元年(2019) 人口動態統計月報年計(概算)の概況 (厚生労働省)
3)2020年版嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食に関する市場実態と将来展望 (矢野経済研究所)

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