多糖類の特性~多糖類の相乗性について1「ロット間差の実際」~

多糖類は単独で使用した場合にも有効な効果を発揮し、様々な場面で使用されていますが、各種多糖類が持つ相乗効果を活かした活用方法も多くの場面で利用されています。各種多糖類の持つ相乗効果に関しては、本サイトの多糖類の種類から、各種多糖類の性質として記載しておりますので、詳細は割愛します。

 本稿では、活用される機会の多い、キサンタンガム×ガラクトマンナン(ローカストビーンガムやグァーガム)の相乗効果を例にとりながら、同一製品内のロット差や製品差についてご紹介します。

 キサンタンガムとローカストビーンガム、並びにグァーガムとの相乗性は混合比率によってその効果が変動し、一例として以下のような配合比とその結果が例示されています。

  

多糖類.com キサンタンガムの特性より引用

一方で、以前の豆知識でもご紹介したように、一口にキサンタンガムと申しましても製品によってその反応性に差があり、それが特徴となっています。下記図は、キサンタンガムとグァーガムの反応性を4つの標準的な同グレードのキサンタンガム製品で比較したグラフです。

 配合比率と粘度の傾向こそ似たようなものですが、その相乗性に差があることが分かります。
 さて、ここからが本題となりますが、同じ製品であればロットが変わっても同じような相乗性を得られるのでしょうか。
 そこで、グァーガム製品Aの1ロットに対して、キサンタンガム製品aを1~3の3ロット使用して相乗性の測定を実施しました。ロット間の比較が目的ですのでキサンタンガムとグァーガムの比率は1:1で固定とし、加熱溶解液をB型粘度計で回転数を変更しながら測定を行い、得られた結果を以下に示します。


グァーガムAとキサンタンガムa各ロットの相乗性試験結果

縦軸に測定粘度、横軸にB型粘度計における測定時の回転数を取りますと、ロット1とロット3は類似の粘度結果を示しましたが、ロット2は他の2ロットよりも高い粘度を示しました。同じグァーガムを使用していますので、ロット2のキサンタンガムは他ロットと比較してグァーガムとの相乗性が高いと推測できます。

 増粘多糖類の多くは天然物を由来とすることもあって分子量等にバラつきが存在し、一例として粘度を挙げましてもロット間差があることが一般的です。加えて、本試験結果のように相乗性についてもロット間差が認められることがほとんどです。その為、多糖類の使用時にはいくつかのロットを検証することや、製品の特性にゆとりを持たせて柔軟性のある製品設計にするなどの対策が必要になります。もしくは、各社から様々な製品として販売されている多糖類配合剤であれば、物性が一定の規格幅になるよう設計されていますので、容易に使用することができます。

 次回の豆知識では、本結果を踏まえながら、グァーガムの種類やキサンタンガムの種類を変更した際の結果を中心に、ローカストビーンガムとの反応性など、様々な組み合わせにおける相乗性の効果をご紹介します。

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