豆知識-グリロイド®(タマリンドシードガム)北米展開-
番外編
相対するロイドくんとエコーちゃん。二人の間にはただならぬ雰囲気が流れています。そこを通りかかったデントくん。果たして何が始まるのか…。少し話を聞いてみましょう。
ロイドくん:覚悟はできておるか? わしはできておる。
エコーちゃん:…ゴクリ
デントくん:い…いったい何が…!?
ロイドくん:タマリンドシードガム、北米進出じゃ!!
デントくん、エコーちゃん:きゃ~~~っ!!!!
ロイドくん:2014年にGRAS*1を取得し、米国での販売が開始され、早5年…。長かったのう…。
デントくん:なるほど。確か正確には2018年5月からカナダでも使用可能になり、北米進出が達成されたんですね。
ロイドくん:
そうじゃ。当時、わしはアメリカンドリームを夢見て米国に渡ったんじゃが、陸続きのカナダに行くことをうっかり失念しておってのう。島国育ちにはない発想じゃったわ…。
エコーちゃん:そっかぁ。北米ではアメリカで作られたものがカナダで売られたり、その逆もあるもんねぇ。
ロイドくん:そういえば二人はアメリカ生まれのアメリカ育ちじゃったのう。
デントくん、エコーちゃん:えへへ~。
ロイドくん:わしもこの5年で随分アメリカに慣れてきたんじゃぞ。
エコーちゃん:えー。例えば??
ロイドくん:
まずはKosher*2の取得、そしてNon-GMOへの対応!!
デントくん:
なるほど!食品に対する健康志向の高い北米の人たちには必須ですね。
ロイドくん:
うむ。そして今年、NOSB(National Organic Standards Board)のRecommendationリストに収載されたのじゃ。National List*3への収載もあと一歩!!
エコーちゃん:
National Listに収載されると、“Organic”記載の製品にも使えるようになりますね。すごい!!
ロイドくん:
そうじゃ。どうもわしは北米では“くりーんらべる”なるものに人気があるらしくてのう…。色々と頑張ったんじゃ。
エコーちゃん:くりーんらべる…クリーンラベル…、Clean Label*4!!
デントくん:
化学的な名称の原材料があまり使われていなくて、消費者の良く知っているものを中心に作られている食品のことですね。
ロイドくん:さすが、よく知っておるのぉ。
エコーちゃん:知ってる!!私も物質名“Xanthan Gum”の“X”の響きが良くないって言われたことがあるもん。
デントくん:“X”…Xenobiotics (外因性化学物質)とか、Toxic (毒物)とか、金属の爪を出した人が大暴れする映画とかがイメージで出てくるのかなぁ?
ロイドくん:そっちの覚悟はできておらんから、それ以上はやめておくれ。
エコーちゃん:どんな製品に採用になったの~?
ロイドくん:そうさのう、北米で販売されている食品の原材料表示は全表示じゃから、ラベルを見てみるとわかるぞ。どれ。
エコーちゃん:
ふむふむ…デイリーフリーのヨーグルトにアイスかしら?
デントくん:
他にもドレッシングやディップ、ソースへの採用もあるんだけど、今回は大人の事情で掲載しないんだって。
採用の秘訣はなんなんだろう?
ロイドくん:
品質、機能面はもちろんのことじゃが、知名度があったことも良かったようじゃ。
まず、品質については先に掲載した各種認証の取得や収載、植物由来の多糖類であることが、近年の欧米のクリーンラベルトレンドや、ビーガン食(菜食主義者用食品)にマッチしておったようじゃ。機能面は…
デントくん:
ヨーグルトや冷菓は食感改良、作業適正向上や品質安定。ドレッシング系には乳化安定目的で使用されるアルギン酸エステル(PGA)の代替目的での引き合いが多いんですよね。けど…
エコーちゃん:知名度って?2014年から販売が開始されたのよね?
ロイドくん:そうなんじゃが、実はタマリンドシードガムを増粘多糖類、安定剤として販売する以前から、米国では“タマリンド”が一般的じゃったんじゃ。
デントくん:そうか!!タマリンドの果肉ですね!!
ロイドくん:
そうじゃ。以前にも簡単に紹介したが、タマリンドの果肉は食べることができるのじゃ。海外でどのように食べられているかも紹介しなければいかんのう。
エコーちゃん:楽しそー。
次回はタマリンド果肉とその用途を紹介したいと思います。日本では滅多に見ないタマリンド果肉ですが、海外では一般的なんですよ。
参考
*1 GRAS: Generally Recognized as Safeの略。GRAS物質は、その分野の専門家の知見や、食品として使用されてきた経験により、一定の使用目的における条件が安全であると証明されている物質である。専門家の知見および経験、科学的データ等を基に物質の安全性が公的に証明され、「 GRAS Determination 」が行われた物質が FDA(米国食品医薬品局) へ通知され、 FDA がそれに対し意義を申し立てない場合、その物質は GRAS 物質として”GRAS Notice Inventory”に掲載される。
*2 Kosher:ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと。オーガニックなどと同様に、高品質で安心でき、地球環境に配慮するなど倫理的な食品「エシカルフード Ethical Food」のひとつとして、欧米を中心に注目され、食品を選ぶ目安にされている。
*3 National List:米国農務省はOrganic Regulationとして、NOP(全米オーガニックプログラム)を展開しており、National Listはその傘下で作成されている。”有機(organic)” 又は ”有機で作られている(made with organic) (特定の成分又は食品グループ)” と表示できる加工製品に使用されるかもしれない合成及び非合成物質のリストを含んでいる。
*4 Clean Label:厳密な認証や定義は存在しないが、シンプルで、食品添加物や化学的な名称の原材料が少なく、誰でも知っているような成分のみを使用した製品の事を言う場合が多い。