豆知識-ロイドくんの夏休み2~タマリンドシードガムができるまで~
番外編
気がつけば冬が近づいてきましたが、前回からロイドくんの夏休みのお話が続いています。前回の豆知識では当社製品グリロイドの原料、タマリンドシードガムの産地や実の話が紹介されました。今回は、その続きで豆からガムを作る方法のお話です。
さっそく、続きを聞いてみましょう!
ロイドくん:
では、果肉を取り外した種を見てみよう。現地では、この鞘の中身から果肉と種を取り分けているんじゃ。タマリンドシードガムの原料として使用するのは種のほうなんじゃが、集まった種はこんな感じじゃ。
エコーちゃん:うわー!すごい量だね!!
デントくん:ほんとだー。けど、この種ってどのくらいの大きさなんですか?
ロイドくん:
丁度、一緒に行った人が豆を取り出した写真があるから比べてみよう。
エコーちゃん:意外と大きいんだねー!
ロイドくん:そうじゃなぁ・・・
見た目は小豆っぽいんじゃが、それよりも大きくて角ばった平たい種なんじゃよ。
デントくん:
けど、どうしてこの種から多糖類を取り出して利用するようになったのー?
ロイドくん:
良い質問じゃな。この種は一部では炒ったり揚げたりして食用にもされていたんじゃが、基本的には果肉を取った後に残る廃棄物として捨てられていたんじゃ。それが1950年代頃にインドで盛んじゃった綿工業で使用するサイジング剤と呼ばれるものに、粉砕したタマリンド種子を利用できることが発見されたんじゃ。
エコーちゃん:サイジング剤??
ロイドくん:
綿工業では、縦糸に塗る糊剤のことで糸を織る時に使用するんじゃ。サイジング剤を塗ることで単繊維をまとめて1本のようにしてバラけたり毛羽立ったりしないようにしたり、糸のすべりを良くしたり切れにくくする等の目的で使用するんじゃ。
エコーちゃん:タマリンドが使われる前はどうしていたの?
ロイドくん:
もともとは澱粉が主要な原料で今もよく使用されているんじゃが、その代わりにタマリンドが使われるようになったんじゃよ。
デントくん:
なるほどー。けど、黒い豆を粉砕しただけでは、市販されているタマリンドシードガムのように白い粉末ではなく、黒っぽくなるんではないですか?
ロイドくん:
なかなか鋭いのー。確かにそのままでは白い粉末にすることは出来ないんじゃ。そこで、豆からタマリンドシードガムになるまでを簡単に見てみよう。最初にたくさんある豆からゴミを取り除いて、黒い豆の皮を剥いでしまうんじゃ。すると、中から白い豆が出てくるんじゃが、この部分がタマリンドシードガムの主な原料になるんじゃよ。丁度、写真の左が外皮を剥がす前の豆で、右が剥がしたあとの豆なんじゃ。
エコーちゃん:なんだか別の豆みたいに白くなっちゃったねー!
ロイドくん:そうじゃな。もとの豆を黒豆といい、外皮を剥いた後の後の豆を白豆と表現するほど、見た目が変わるんじゃ。
デントくん:黒い外皮は簡単にはがれるんですか?
ロイドくん:いやいや、生の黒豆の外皮は非常に硬くて簡単には割れないんじゃよ。
エコーちゃん:そんなに固いんだと剥くのは大変そうだねー。
ロイドくん:
それが、この黒豆を高温の砂や熱風を利用して焙煎することで、外皮が膨らんで非常に割れやすくなるんじゃ。後は外皮の割れた黒豆同士をぶつけたりしながら外皮を剥いていくんじゃよ。
エコーちゃん:秋の味覚の焼き栗みたいだね!
ロイドくん:
確かに似たような雰囲気かもしれんのぉ。この白豆から、黒い皮が残ったもの、形の悪いものや虫食いのある豆を取り除いてから洗浄し、ホコリ等を取り除くのじゃ。
デントくん:ドンドンきれいになっていきますねー。
ロイドくん:
まだまだ続くぞぃ。洗浄した白豆をかなり荒く砕くことで更に細かな異物を除去したり、”ヘソ”といわれる硬い部分などの不要部分を取り除いていくんじゃ。すると写真のような状態になるんじゃよ。
エコーちゃん:なんだか、最初の黒豆から比べると、すごく白くなったねー。
ロイドくん:
確かにのぅ。ここまできれいにしたら後は細かく粉砕して粉末状にするんじゃが、このままではまだ製品とはいえないんじゃよ。
デントくん:
もう製品と変わらないきれいな粉末になっていると思うのですが・・・。
ロイドくん:
実はこの白豆にはタマリンドシードガムを主とする炭水化物成分の他に20%ほどのタンパク質と5%程度の脂肪分を含んでいるんじゃ。このような成分を含んでいることは植物の種子としては普通のことなんじゃが、タマリンドシードガムとして利用するために更なる精製を行って、純度を上げているんじゃよ。
エコーちゃん:なんだか旅行の話だったのに、すっかりタマリンドの豆のお話になっちゃったねー。
ロイドくん:すまんすまん!つい色々とお話してしまった。
デントくん:でも、色々と知らないことを聞くことが出来て楽しかったです!
エコーちゃん:ほんとだねー!これだけタマリンドに詳しくなったから、これで私もタマリンド博士かしら?
ロイドくん:エコーちゃんは頼もしいのぉ・・・。そうじゃ!今度はエコーちゃんにも何か講義をしてもらおうかのぉ。
エコーちゃん:・・・・。あ!今日は用事があったんだったー!じゃあねーー!!
デントくん:・・・・・素早いですね。
ロイドくん:うむ。見事じゃのぉ・・・。
いつか、エコーちゃんが講義をする日は来るのでしょうか。さて、次回の豆知識ではゲルの構造に関する内容をご紹介する予定です。